Maestro Antique (aka MA : LIMITED

Maestro Antique (aka MA : LIMITED

Regular price ¥19,800 Sale

 Leqtiqueの第一弾として2010年にMaestroAntique Revised(aka MAR)を発表し、本年2018年の前半にLeqtiqueshop(leqtique.ch)の第一弾アイテムとしてMAR VPtPを販売致しました。

  今回、2018年を締め括るにあたり2009年2月に僕のプロエフェクタービルダーとして最初の作品であった、Shun Nokina Design - Maestro AntiqueのLeqtique版の復刻を行うことにしました。

 Shun Nokina Design(aka SND)時代の初期のパーツのチョイスは今の自分では考えられないほど、幾つかのビンテージ部品に傾倒していたものでした。今回以下のリストに挙げられる素晴らしいコンポーネンツたちを国内外から少量ですが集結させました。具体的には例として、当時のSND - Maestro Antiqueでは今でもおなじみのWima MKS2(Leqtiqueペダルの中身に沢山採用されている、ドイツ製の良質コンデンサです)等を採用しましたが、今回は僕の当時のお気に入り中のお気に入りであったビンテージのERO MKT1826を全ての値に採用しています。当時は、MKT1826で全ての値を揃えるのはほぼ不可能に近く(記憶では、0.047uFなどは本当に入手困難でした。)、一回だけ自分のサンプルで組み上げたことがある程度でしたが、今回時間の経過とともに世界中のNOS品が市場に出回っており、少数ですが集めることに成功しました。

 SND - Maestro  AntiqueはLandgraff - Dynamic Overdriveに当時強く影響を受けた部品選びとなっていましたが、今回もおなじみのビンテージAllen Bradley抵抗のみならず、Sprague 150D”青タンタル”や、517Dといった、この企画でないと採用できない部品たちを存分に採用してあります。

 結果として、MAR VPtPとはトランジスタ2つしか同じ部品を含まないという別物のようなコンポーネンツチョイスとなり、よくLeqtiqueの中身に対して”赤い”という感想をお持ちの方は多いかと思いますが、今回は全く違う光景となっています。実際のサウンドの差異はどのようなものかといえば、MAR VPtPやMARもしくはMAR Quadとは全く違う方向性になっています。

  可変抵抗器のカーブの選択が、弾き手のインスピレーションを変化させ最終的にアウトプットされる音の選択に影響をもたらすことを確信したのは数年前のことでしたが、今回のMaestro Antiqueでは、敢えてTSよりMARに昇華させる段階で改良したそのあたりの部分をそのような理由で昔ながらのカーブに戻してあります。上記の部品選びは非常に大きなファクターですが、それだけでなくこういった細かな配慮が実際の出音に間違いのない“古めかしさ”を感じさせる出来になったと考えています。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、Leqtiqueで初めてサテンフィニッシュに仕上げたルックスにも、そんなメッセージが込められています。

 MA”R”ファミリーでは、金属的な鳴りという言葉を使い当時表現したボイシングがTS元来のいなたいブルージーなサウンドに融合したハーモニーというようなサウンドでしたが、Maestro Antiqueは金属的な鳴りとは真逆のまろやかで心地よく篭った鳴り方が根底にありますが、最重要であるSND - Maestro Antiqueで門外不出の長年秘密であったオペアンプと全く同じものを採用することにより、サウンドの奥行きが追加されています。また動作時のノイズレベルの低さは特筆もので、超限定的なアイテムながらも非常に実践的な一台に仕上がっています。

 上記と重複する内容がありますが、是非以下のMaestro Antiqueで採用されている各コンポーネンツの紹介をご覧ください。コンポーネンツの宝箱があるとするならば、そのどれもが小分けのスペシャルな区画に入るべきとこのモダンな時代では言えるような物ばかりで、今回Maestro Antiqueを企画するにあたり上限数はあったものの妥協なくもともと使用したかったリスト通りに揃えることができたことを非常に嬉しく思います。

 

 EROのMKT1826は古くから、個人的な好みとして長年ポイントで使用してきました。(ポイントで使用する以上の数量や数値のバリエーションが当時は確保できませんでした...)一般的には後継品版であるMKT1817が今でもヨーロッパのエフェクターには使用されることがありますが、このMKT1826はリード線が非磁性であることと、封入素材の違いを主な理由として信号に対する付帯音が非常に少ないです。例えば、僕が一番多く使用する赤いコンデンサーWima MKS2と比較すると、ハイエンドに丸みがあり柔らかいサウンドを持ちながらも、音を繊細にアウトプットする印象があり謂わば、コンデンサー版のビンテージAllen Bradley抵抗といったところでしょうか。今回、MA企画を思いつくきっかけとなったのがこのコンデンサーで、普段はピンポイントでしか使えませんが今回は回路上の全ての必要箇所の数値を入手できたので、非常に贅沢ながら一台のエフェクターに7個のMKT1826を搭載しています。

 

 Sprague社のタンタルコンデンサ150Dは、LandgraffのDODの中で極めて重要な音への影響をもたらすコンデンサでした。今でも現行で手に入るのが信じられないほど良質な素材で作られたこのタンタルコンデンサは、今の僕の手法ではすぐにMLCCやフィルムコンデンサに置き換えがちなものの、このタンタルコンデンサでしか表現できない過度でないスピード感と、程よい解像度、MKT1826にも通ずるような繊細な表現力があります。同様にSpragueから採用した517Dも古の時代を感じさせるような電解コンデンサーですが、現代のポリマーの電解コンデンサーのように完璧に電源をコンディショニングしないあたりが、いい意味で音に厚みを持たせるシークレットな味付けになったりするのです。

 

 ビンテージのAllen Bradley抵抗(AB抵抗)は、原音を忠実に再現するフィデリティーの高さと、カーボンコンポジション組成由来の温かさを非常に重宝し、昔から現在までLeqtiqueのあらゆるエフェクターに使用してきています。基本的には音に強く影響をもたらすシグナルラインのみに使うことが多いですが、これも古い手法で今回は全ての抵抗部分にAB抵抗を使用しています。MAの裏蓋を開けた途端、ビンテージエフェクター感が非常に強いのはこのためかと思います。エフェクト音に基本的に影響の少ないバイアス形成部分の抵抗や保護抵抗もこのAB抵抗にすることでその小さな影響が山となって、独特の音の温かさを生み出していると思います。

 SND - Maestro Antiqueリリース当時、"400種以上のオペアンプから選んだ型番"とだけの文面にとどめたシークレット中のシークレットなオペアンプはこのレイセオン社のRC4558Dでした。あまりにも貴重なこのオペアンプは試されたことのある方も少ないはずです。4558の型番は無論各社からリリースされていますが、レイセオンのこの"D"型番は、異常なほどトップエンドがスムースでローノイズです。フィデリティーという点においては例えばJRC4558艶ありなどに分配が上がりますが、上記のコンポーネンツとのバランスで非常にいい具合に収まっています。他のコンポーネンツも二度と手に入らないようなものばかりですが、この心臓部に関してはさらにその中でもミュージアムレベルと言っても過言ではありません。しかしながら、コレクションアイテムの側面よりも実践的な音響特性はさらに魅力的で、4558よりも僕の大好きなLM1458を完璧なバランスに仕上げたようなオペアンプとでもいいましょうか...

 

 これ以上ないほど、過去の手法とスペシャルな古き良きコンポーネンツにより蘇った、Maestro Antique(aka MA)ですが、是非MAR,MAR QuadないしはMAR VptPと比較してみてください。より一層コンポーネンツでの音の差異などを味わうことができお楽しみいただけると思います。なお、MAR VPtPより、こちらもスペシャルな2SC1815(L)-GRとクリッピングダイオードを共有しています。(SND-MAも)是非こちらの記事もご覧ください。

https://leqtique.ch/collections/frontpage/products/maestro-antique-revised-vptp-l-cld-special-bandle

 

 

L to R : MAR(Circa 2011 , MAR VPtP 2018 , MA 2018