Maestro Antique Revised VPtP

Maestro Antique Revised VPtP

Regular price ¥19,800 Sale

 Leqtiqueの第一弾として2010年に発表されたMaestroAntique Revised(aka MAR)でしたが生産中止以降、2014年のMAR Quadの限定リリースを除き復刻されることはありませんでした。

  今回、2017年以降Leqtique各モデルの基板をVirtual Point to Point化していることもあり、限定数量にて”MAR VPtP”をリリースすることにしました。

  MARは当時、幾つかの非常に重要なビンテージコンポーネンツを絶対的な基調としながらもそれ以外の部分で幾つかの部品のメーカーの違いがあり時期によってほんのわずかですがサウンドの違いがあるものでしたが、今回はその絶対的な基調を全て集め直すことからスタートし、かつ個人的に当時のあらゆる時期の部品の組み合わせの中で一番いいと思われる個人的な”Best MAR”の組み合わせで組み上げてあります。その”基調”についての拘りは下記をご覧ください。   

 最重要な部分の一つである、標準ベークライト基板(左)から特殊VPtP基板(右)へのアップグレードです。当時、個人的にベークライトのもつハンドメイドライクなルックスを好んでおり採用していましたが、近年ガラスコンポジット素材の電気的特性の良好さはもちろんのこと、マットブラックで仕上げることによるプロフェッショナルな見た目に惚れたことと、3Oz銅箔のダブルレイヤーによる6Ozの超極厚銅箔により、実際にはPoint to Point配線と変わらないアイデアをもってこのような形に落ち着きました。

  “基調”のそれぞれをご紹介いたします。一つ目はAllen Bradleyの1960’のビンテージカーボンコンポジション抵抗です。MAT以降現行の幾つかのメーカーのカーボンコンポジション抵抗に切り替えましたが、MAR,MAR Quadではビンテージのストック品を贅沢に使用しています。カーボンコンポジションの素性上非常に暖かいミッドレンジーな音楽的というべきサウンドで鳴りますが、とくにAB社のものはそこに解像度が加わり非常に繊細な響きとなります。写真に写っています、ERO社のビンテージMKT1826も同様で、後続の現行MKT1817とはリード部分の作りが異なり非磁性であることから、より繊細な鳴り方をします。非常に細かくマニアックな部分ですが、MARのサウンドの根幹はこのあたりに大きくあります。もちろん、今回のMAR VPtPでもこの二つのみを使用しています。

 

 この二つのどちらも東芝セミコンダクター製の部品は”基調”のなかでも一番サウンドの根幹を成すほど重要なものですが、非常に入手が困難でこの二つのビンテージ部品を集めることが難しくMARを廃盤にした経緯があります。MAR Quadの時は左側の非常にスムースな歪みサウンドをもたらすシークレットダイオードの入手が難しくなっていましたが、いまでは解消され今回のMAR VPtPの限定数量以上に確保できました。問題は右側の2SC1815GRという汎用的なトランジスタのローノイズ選別品である(L)グレードのものです。(印字にLGとあるものです。)これはMAR Quadの時から入手が非常に困難でしたが今回は内外探しても必要数量を仕入れるのが不可能というレベルであったため、NOS品ではなくマウントされながらも使用されることのなかった古い基板から寄せ集めました。当然機能は問題なくバッチリですが、特にこの理由で今回のMAR VPtPは限られた数のリリースとなっています。

 最後に初代MARより心臓部であるオペアンプの型番は一回も変更していませんが今回のMAR VPtPでは初めてメーカー選別品であるAランク設定のものを採用しています。大きくサウンドを変化させるような内容ではありませんが、Aランクのオペアンプをプロダクションモデルで採用するのは簡単なことではないため、今回のようなスペシャルエディションの醍醐味だと感じています。

 以上が、初代MARから受け継がれるサウンドのシークレットレシピです。左側が初代MAR,右側が今回のMAR VPtPです。是非上記を参考に見比べてみてください。

 既に初代MARやMAR Quadをお持ちの方は、是非エフェクターの裏蓋を開けて部品のそれぞれをご確認いただきお楽しみください。上記のそのどれもが世界中の色々な場所から来ており(例えばVintage ABはUSA,Vintage Eroはドイツ等)、簡単に入手できないものが多いです。そんな部分にもロマンを感じて頂けるとビルダー冥利につきるというものです。