Caeruleum Lightdrive High Definition EVR (aka CLHD EVR

Caeruleum Lightdrive High Definition EVR (aka CLHD EVR

通常価格 ¥31,400 販売中

※CLHD EVRはDuelund Coherent Audioのコンデンサーがデンマークで時間をかけてのハンドメイドのため、ご納期が通常のEVR製品より長くなっております。

7/6-ご注文分の初回ロットのご納品は9月中旬を予定しております。

 Leqtique - CLHDは当ブランドのクリーンコンディショナー、プリアンプ、ローゲインオーバードライブといった、ローゲイン領域の決定版としてベストセラーの一つでした。特にこのエフェクターは"ギターの原音"に向き合うことを最優先においているため、回路の構成は"引き算"を強く意識したものとなっており、High Definition(高原音再生能力)とそれをコントロールするユニークなコントロールを実現すべく、あらゆる回路的なテクニックが駆使されています。

  Leqtique - CLHDに採用していた香港会社のHiFiコンデンサーであるObbligato Ultra Premiumは非常に大きなサイズと真鍮製のハウジングが極めて特徴的で、サウンドにもオイルコンデンサーらしい流麗なスピード感とトーンを付与しており、CLHDの構成に絶対的に不可欠な物でしたが、近年廃盤となっており今回EVR化をするにあたり3つの重要な課題がありましたが、そのアップデートがまず一つ目でした。

(Obbligato Ultra Premium Capacitor in CLHD Supreme 2018)

  コンデンサーの世界は非常に奥が深く、その中でも一際個性が際立っていてオーディオマニアより長年にわたって異次元に評価が高いのが、デンマークのDuelund Coherent Audio社のCASTと呼ばれる製品でした。こちらはコンデンサーだけでエフェクター一つより大きなサイズをしており、その単価もLeqtqieu EVR製品で言うと、4台分以上になるような代物でした。当初より自分も大きな憧れを抱いていましたが、数年前にそんなDuelund社がコンパクトなサイズで、現実的な価格を備えたJDM-PPシリーズをリリースさえれていることを知り、こちらを採用することからCLHDのEVR化は進みました。CAST同様のテクニックで東デンマークでハンドメイドで作られるこちらのコンデンサは、ポリプロピレン素材由来の硬さが一切なく、まるでPIOコンデンサーのような流麗さとスムーズさ、ハイエンドの美しさを備えます。その中で特にハイミッドの響きがソフトなのはDuelund社のマジックというべき特徴で、これはLeqtique(EVR)で偏重されているAB社などのCarbon Composition抵抗の特徴とよく似たものです。

  次に二つ目の課題としては、Leqtique - CLHDは心臓部にLT1028という超高速オペアンプを使用しており、その能力を最大限に引き出すために内部で電圧を4倍に昇圧しており実質的に30V以上で駆動しておりましたが、電圧を変換するICとそれにまつわる回路に脆弱性がありました。(https://www.cult-pedals.com/products/clhd-supreme?variant=13654395420707) こちらをクリアすべく、CLHD EVRでは異なる電圧変換のICと刷新された回路を使用しており、あらゆる使用に対する電源の保護を強化し、心配なく通常のエフェクターと同様に使用できるように仕上げました。

 そして最後に三つ目として、CLHD(EVR)に備わったDefinitionコントロールは他で類を見ないユニークなコントロールですが、このコントロールを時計回し方向に回すことでTSライクなスムーズなトーンの表情を見せます。その際に、TSのようにローエンドが軽ければ....といった事を思うことが増えてきたため、L' - CLDではLow-Cutコントロールを備えています。この特徴はCLHD EVRにも受け継がれ、Low-Cutを半時計回しいっぱいでは原音そのままのローエンドを再生し、より太いサウンドを。Low-Cutを時計回しに回していくことでGainを上げた際に付随する過度なローエンドを適度にカットしたり、Low Gain ODとして使用した際の歯切れの良さを生み出し、カッティングワークなどでの使用に重宝します。

 CLHDシリーズは、ヨーロピアンライクな"引き算"の設計思想を最大限に具現化したフラグシップモデルの一つですが、今回Duelund社のコンデンサーその他の刷新においてより完全体に仕上がりました。クリーンサウンドにこだわりを持たれる方や、絶妙に歪んでいるか歪んでいないか、といった領域のサウンドを追求したい方のために最高のデバイスです。また裏技として、CLHDシリーズを2台直列に繋ぐ事で、極めてスムースで心地の良いオーバードライブサウンドを生み出すのがヘビーユーザーの方の定番となっております。CLHD EVRをそちらに組み込む場合には是非後段に接続して、Low-Cutによる全体のサウンド調整幅を広げ、より広いローゲイン域のトーンの追求をお楽しみください。

Control : (Left to Right) Volume , Low-Cut(mini) , Definition , Gain 

Operation Voltage : 9V (NO 18V)

 

Shun Nokina

 

"EVR" コンセプトについて 

  2019年以降はヨーロッパを拠点としていくつかのペダルのデザインには携わらせて来ておりましたが、Leqtiqueのペダルについては新作をリリースすることもなく実質的には休止状態になっておりました。しかしながら、2024年拠点を一時的にアイスランドとしたことで素晴らしいインスピレーションを複数得ることができ、その全てを"EVR"というアップデートパッケージとしてデザインし続けて参りました。

 "EVR"とは、アイスランド語でEVRU:ヨーロッパを意味します。長年、通いや拠点としてヨーロッパ各地で得たインスピレーションや経験をフィードバックして体現していくことを文字に強く込めています。塗装の色彩感や、サウンドのダークさなど元々、強くヨーロッパへの憧れが体現されていたLeqtiqueのペダルですが、より現実的な経験としてはっきり体現されています。

  15年間アップデートの入ることのなかった、Leqtiqueのペダルですが筐体、全てのコンポーネンツ、コンセプトなど一から全て再構成をしました。例えばアルミニウム削り出しの一体型であった筐体は、許容力の広い一般的な"箱"のデザインでしか今まではありませんでしたが、完全にLeqtique EVRのペダルでしか活用できないような特別な設計としてあります。"一体型"であることの優位性を考え直すことで、アルミニウムのみであった素材は、今回アルミニウムの機能的なベースケースと、非磁性のステンレスを使用したコスメティックなレイヤー、また個別で切削されたパーツの3セクションに分割し、統合することで構築されており、"削り出し筐体"のデザイン面での多様性と一貫性、マテリアルチョイスの制限性に逆説的に大きくメスを入れました。結果として、アクリル塗料により塗装されていたケースの大部分はアルミニウムの陽極酸化処理として置き換えられ、今までと比較にならない耐久性を得ることができ、上部レイヤーをステンレス素材をにすることでペダル全体の剛性感は格段に向上し、コスメティックな観点でもステンレスの輝きはハンドペイントに今までには無い奥深い立体感を付与しまいます。また、多軸のCNCマシンでも制作の難しいアイデアについては、個別でパーツを作成し統合することで解決しており、特にチームでは"Slider"と呼んでいる内部の部品は、ペダルコンセプトとは別色で敢えて制作されており、ブランド初期より長らく使用し続けているGavitt製のクロスワイヤーを個別でシールドするのと、Leqtiqueらしいすっきりとした配線を2次元から3次元的に昇華しています。

  他方、電源セクションはペダルの基幹的なデザインの中で間違いなく一番重要なポイントですが、リーディングブランドであるKeystone社の電池スナップを長年活用させていただいておりましたが、最高品位なものが廃盤となり自分としてはこの部分に対して一番頭を抱えておりました.... しかし、EVRコンセプトしてすべてを一から再構築する際に、経年によってワイヤーが切れる可能性のあるスナップではなく、電池自体をセクションとしてマウントしたい。という理想を今回具現化しました。Keystone社の"Model 91"はビンテージタイプから素材やデザインはさほど変わっておらず、9Vの角電池を強力にホールドして強いパワーシグナルをアウトプットするという意味では、個別で設計されたVPTP基板と合わせて、オリジナルLeqtiqueペダルのフォーマットからは遥かに高次元な進化を遂げました。

 こういった全てのアップデートの大半は、"ペダル内部"に関するものが多く、前述の高品位なパーツ群といった話も含めて、実は演奏して実際にペダルを楽しんでいる際には気に留められることがほぼ無い部分なのですが、そこに"なぜ?"という問いも今回のアップデートパッケージの原動力の大きなテーマの一つでありました。自分なりの答えとして、"裏蓋から内部へのアクセスの悪さ"が大きな要因の一つであると考え、裏蓋と固定構造についてもかなり長い時間考察と設計を続けました。最終的に、UKで製造されるカーボンファイバーで強化されたポリアミドの小さなノブ2つで固定することのできる構造へと、トラディショナルな4点プラスねじ止め構造から発展させました。こちらの小さなノブは親指で締めたり、緩めたりが可能なトルク感を持っておりますが、内部にアクセスする機会の少ない場合はスリットが、各国の硬貨やピックの挟まるサイズ感にしてありますのでそちらで増し締めしていただけたらと思います。

  今までで一番ペダル内部に開閉しやすいデザイン。というのが、ペダル内部にひたすら拘り続けた自分からの最終的な回答です。今後のLeqtiqueペダルの新作や、過去作のアップデートには内部トリマーetc...など多く含んで参りますのでこのアップデートは間違いなく大きな意味を持ってくると思います。また、強いメッセージとして"時々ペダルの内部も開けてみてください。間違いなくこのペダルをさらに愛せるでしょう。"というものもあります。世界各地から集められたカスタム品や、シークレットパーツ達それぞれにストーリーがあるのです..... (後記ブログにて詳しく

※Leqtique オリジナル CLHD 説明書