
Beryl EVR
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¥29,400
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2018年Leqtique - BerylとしてリリースしましたこちらのOD/DSは、間違いなく過去のLeqtique作品の中で一番万能性の高いエフェクターでした。Clean(Preamp EQ)-Low Gain OD-Medium Gain OD - Medium Gain DSという主に4つの役割を無段階的に、可変することが可能なため9/9-10/10-11/11のような超ハイゲインが必要な環境以外で、あらゆるサウンドを出すための何か一台を選ばなくては.... と言う環境ではBeryl EVRかRED EVRをチョイスするのが確実に最良です。
RED EVRはLeqtique - REDよりもTrebleが増強されたことで、Berylにも少しだけ寄っては来ましたが、やはり最大の持ち味はMedium-High Gainのディストーションサウンドだと思っていますので、確かにバーサタイルではあるもののその音色の違いも含めて大きく異なります。
元来、BerylではGainつまみの設定によって、二段階のゲインステージのそれぞれを可変させて繋がるような構造をとっており、その一段目にはビンテージのクリッピングダイオードを使用しMARにも通ずるような極めてスムースなオーバードライブサウンドを生み出します。そして二段目には緑色の高いスレッショルドを持つLEDをクリッパーとして使用することで、ゲインレンジが上がるにつれて、ワイルドで粗めの粒子のディストーション成分が付加されていきます。
本作Beryl EVRでは回路上の半分以上の定数を変更したものの、狙っている音や可変のレンジ感に大きな違いはありませんが、その二段目のゲインをあげるにつれて付加されるディストーション成分を若干オープンでより粗めのサウンドに調整してあります。Berylの本来持つクリアで重心が高めなサウンドをより引き立たせるような改造となっています。
時間が経つにつれて、トランスペアレント系のエフェクターは数が増える一方、単体での歪みというよりは、Preamp/EQ/Boost(+)若干のゲインのプッシュといった用法が常套句かと思います。Beryl EVRではオリジナルBeryl同様、そういった範囲は完全にカバーしつつ、より単体での歪みの個性や有用性を、現代的な音像をイメージしながら強調してあります。
ダークなサウンドの多いLeqtique製品の中では、Berylと11/11は設計の最初の段階からトレブル/プレゼンスの存在意義を強く意識したモデルとなっており、ある種非常に異質ではありますが、そつなく1台で色々こなしたいのだけれど、各ゲインレンジで個性的な音色が欲しい。といった状況ではEVR製品の中で後にも先にも本作がベストチョイスです。
Shun Nokina
"EVR" コンセプトについて
2019年以降はヨーロッパを拠点としていくつかのペダルのデザインには携わらせて来ておりましたが、Leqtiqueのペダルについては新作をリリースすることもなく実質的には休止状態になっておりました。しかしながら、2024年拠点を一時的にアイスランドとしたことで素晴らしいインスピレーションを複数得ることができ、その全てを"EVR"というアップデートパッケージとしてデザインし続けて参りました。
"EVR"とは、アイスランド語でEVRU:ヨーロッパを意味します。長年、通いや拠点としてヨーロッパ各地で得たインスピレーションや経験をフィードバックして体現していくことを文字に強く込めています。塗装の色彩感や、サウンドのダークさなど元々、強くヨーロッパへの憧れが体現されていたLeqtiqueのペダルですが、より現実的な経験としてはっきり体現されています。
15年間アップデートの入ることのなかった、Leqtiqueのペダルですが筐体、全てのコンポーネンツ、コンセプトなど一から全て再構成をしました。例えばアルミニウム削り出しの一体型であった筐体は、許容力の広い一般的な"箱"のデザインでしか今まではありませんでしたが、完全にLeqtique EVRのペダルでしか活用できないような特別な設計としてあります。"一体型"であることの優位性を考え直すことで、アルミニウムのみであった素材は、今回アルミニウムの機能的なベースケースと、非磁性のステンレスを使用したコスメティックなレイヤー、また個別で切削されたパーツの3セクションに分割し、統合することで構築されており、"削り出し筐体"のデザイン面での多様性と一貫性、マテリアルチョイスの制限性に逆説的に大きくメスを入れました。結果として、アクリル塗料により塗装されていたケースの大部分はアルミニウムの陽極酸化処理として置き換えられ、今までと比較にならない耐久性を得ることができ、上部レイヤーをステンレス素材をにすることでペダル全体の剛性感は格段に向上し、コスメティックな観点でもステンレスの輝きはハンドペイントに今までには無い奥深い立体感を付与しまいます。また、多軸のCNCマシンでも制作の難しいアイデアについては、個別でパーツを作成し統合することで解決しており、特にチームでは"Slider"と呼んでいる内部の部品は、ペダルコンセプトとは別色で敢えて制作されており、ブランド初期より長らく使用し続けているGavitt製のクロスワイヤーを個別でシールドするのと、Leqtiqueらしいすっきりとした配線を2次元から3次元的に昇華しています。
他方、電源セクションはペダルの基幹的なデザインの中で間違いなく一番重要なポイントですが、リーディングブランドであるKeystone社の電池スナップを長年活用させていただいておりましたが、最高品位なものが廃盤となり自分としてはこの部分に対して一番頭を抱えておりました.... しかし、EVRコンセプトしてすべてを一から再構築する際に、経年によってワイヤーが切れる可能性のあるスナップではなく、電池自体をセクションとしてマウントしたい。という理想を今回具現化しました。Keystone社の"Model 91"はビンテージタイプから素材やデザインはさほど変わっておらず、9Vの角電池を強力にホールドして強いパワーシグナルをアウトプットするという意味では、個別で設計されたVPTP基板と合わせて、オリジナルLeqtiqueペダルのフォーマットからは遥かに高次元な進化を遂げました。
こういった全てのアップデートの大半は、"ペダル内部"に関するものが多く、前述の高品位なパーツ群といった話も含めて、実は演奏して実際にペダルを楽しんでいる際には気に留められることがほぼ無い部分なのですが、そこに"なぜ?"という問いも今回のアップデートパッケージの原動力の大きなテーマの一つでありました。自分なりの答えとして、"裏蓋から内部へのアクセスの悪さ"が大きな要因の一つであると考え、裏蓋と固定構造についてもかなり長い時間考察と設計を続けました。最終的に、UKで製造されるカーボンファイバーで強化されたポリアミドの小さなノブ2つで固定することのできる構造へと、トラディショナルな4点プラスねじ止め構造から発展させました。こちらの小さなノブは親指で締めたり、緩めたりが可能なトルク感を持っておりますが、内部にアクセスする機会の少ない場合はスリットが、各国の硬貨やピックの挟まるサイズ感にしてありますのでそちらで増し締めしていただけたらと思います。
今までで一番ペダル内部に開閉しやすいデザイン。というのが、ペダル内部にひたすら拘り続けた自分からの最終的な回答です。今後のLeqtiqueペダルの新作や、過去作のアップデートには内部トリマーetc...など多く含んで参りますのでこのアップデートは間違いなく大きな意味を持ってくると思います。また、強いメッセージとして"時々ペダルの内部も開けてみてください。間違いなくこのペダルをさらに愛せるでしょう。"というものもあります。世界各地から集められたカスタム品や、シークレットパーツ達それぞれにストーリーがあるのです..... (後記ブログにて詳しく
※Leqtique オリジナル Beryl 説明書
