
Redemptionist EVR (aka RED EVR
通常価格
¥29,400
販売中
2009年、Shun Nokina Designとしてキャリアを本格的にスタートする段階で設計したのが"Redemptionist" 通称 "RED"でした。特にBrett Garsedや一部の時期のAllan Holdsworthの強烈にスムースでダイナミックなサウンドにインスパイアを受けて、製作されたデザインでした。トレブルは控えめにどのポイントでもスムースなサウンドのまま、少しだけHi-midの味付けを変える程度に。ゲインはJazz/Fusion/Shredのあらゆるシーンに対応できるようにクリーンからハイゲインまで。ローカットは、どのポイントでも歪みの質感に影響をしないよう、また演奏環境に応じて"聴こえ方"を調整できるようなコントロールに。といった具合のコンセプトでした。
(09' SND Redemptionist : 当時から北欧に憧れていたためスカンジナビア半島で共通する国旗のモチーフがあります。15年経って実際北欧各国の居住経験を元にEVRは具現化されました。)
2014年、Leqtiqueブランドとして回路に大幅な改修を加えより幅広い音楽に対応できるように再設計してリリースしたREDはSNDのオリジナルREDと比較すると、幾分強烈なスムースさは失われたものの、官能的と思しトーンの範囲内で可能な限りトレブルの可変範囲を広げてあります。結果としてポップスやロックなどにも幅広く対応でき、Leqtiqueのラインナップで一番汎用的なペダルに仕上がりました。実際に製造販売されていた5年間の間で、MAT、9/9に次ぐブランド内でベストセラーのOver Drive/Distortionペダルでした。
さてこの度2025年のRedemptionist EVR(aka RED EVR)は、LeqtiqueのREDをEVRフォーマットでまずはクローンすることから始めて、そこに何か一味追加できないか?という考えのもとデザインがスタートしました。より高域の存在にフォーカスが当てられるモダンミュージックシーンの中で、トレブルコントロールのみ何か一味.... ということばかりが設計中に頭をよぎっていたのですが、正直になところLeqtique REDのバランスがこれ以上弄るのが不可能というようなポイントにあったため、かなり難しい問題でした。最終的にあれやこれやと回路のいくつかのポイントを弄っているうちに、SND Redで使用していたフィルタリングのアイデア(比率)のみを持ち込み、それとはサウンドこそ全く関係ありませんが、スムーズなトーンをキープしたままTrebleの可変範囲とサウンドの重心を少し上に上げてあります。
自分の設計のコンセプト上、とあるジャンルのスペシャリティーを目指すような物作りが多いのですが、RED EVRはとにかく非常に汎用性が高く、その中でEVRの共通フォーマットを体感していただけるため、まずは最初のEVRぺダルとして。もしくはハードコアなユーザーの方には、15年間脈々と続くRedの系譜の現在進行形をぜひお楽しみいただけたらと思います。
Shun Nokina
"EVR" コンセプトについて
2019年以降はヨーロッパを拠点としていくつかのペダルのデザインには携わらせて来ておりましたが、Leqtiqueのペダルについては新作をリリースすることもなく実質的には休止状態になっておりました。しかしながら、2024年拠点を一時的にアイスランドとしたことで素晴らしいインスピレーションを複数得ることができ、その全てを"EVR"というアップデートパッケージとしてデザインし続けて参りました。
"EVR"とは、アイスランド語でEVRU:ヨーロッパを意味します。長年、通いや拠点としてヨーロッパ各地で得たインスピレーションや経験をフィードバックして体現していくことを文字に強く込めています。塗装の色彩感や、サウンドのダークさなど元々、強くヨーロッパへの憧れが体現されていたLeqtiqueのペダルですが、より現実的な経験としてはっきり体現されています。
15年間アップデートの入ることのなかった、Leqtiqueのペダルですが筐体、全てのコンポーネンツ、コンセプトなど一から全て再構成をしました。例えばアルミニウム削り出しの一体型であった筐体は、許容力の広い一般的な"箱"のデザインでしか今まではありませんでしたが、完全にLeqtique EVRのペダルでしか活用できないような特別な設計としてあります。"一体型"であることの優位性を考え直すことで、アルミニウムのみであった素材は、今回アルミニウムの機能的なベースケースと、非磁性のステンレスを使用したコスメティックなレイヤー、また個別で切削されたパーツの3セクションに分割し、統合することで構築されており、"削り出し筐体"のデザイン面での多様性と一貫性、マテリアルチョイスの制限性に逆説的に大きくメスを入れました。結果として、アクリル塗料により塗装されていたケースの大部分はアルミニウムの陽極酸化処理として置き換えられ、今までと比較にならない耐久性を得ることができ、上部レイヤーをステンレス素材をにすることでペダル全体の剛性感は格段に向上し、コスメティックな観点でもステンレスの輝きはハンドペイントに今までには無い奥深い立体感を付与しまいます。また、多軸のCNCマシンでも制作の難しいアイデアについては、個別でパーツを作成し統合することで解決しており、特にチームでは"Slider"と呼んでいる内部の部品は、ペダルコンセプトとは別色で敢えて制作されており、ブランド初期より長らく使用し続けているGavitt製のクロスワイヤーを個別でシールドするのと、Leqtiqueらしいすっきりとした配線を2次元から3次元的に昇華しています。
他方、電源セクションはペダルの基幹的なデザインの中で間違いなく一番重要なポイントですが、リーディングブランドであるKeystone社の電池スナップを長年活用させていただいておりましたが、最高品位なものが廃盤となり自分としてはこの部分に対して一番頭を抱えておりました.... しかし、EVRコンセプトしてすべてを一から再構築する際に、経年によってワイヤーが切れる可能性のあるスナップではなく、電池自体をセクションとしてマウントしたい。という理想を今回具現化しました。Keystone社の"Model 91"はビンテージタイプから素材やデザインはさほど変わっておらず、9Vの角電池を強力にホールドして強いパワーシグナルをアウトプットするという意味では、個別で設計されたVPTP基板と合わせて、オリジナルLeqtiqueペダルのフォーマットからは遥かに高次元な進化を遂げました。
こういった全てのアップデートの大半は、"ペダル内部"に関するものが多く、前述の高品位なパーツ群といった話も含めて、実は演奏して実際にペダルを楽しんでいる際には気に留められることがほぼ無い部分なのですが、そこに"なぜ?"という問いも今回のアップデートパッケージの原動力の大きなテーマの一つでありました。自分なりの答えとして、"裏蓋から内部へのアクセスの悪さ"が大きな要因の一つであると考え、裏蓋と固定構造についてもかなり長い時間考察と設計を続けました。最終的に、UKで製造されるカーボンファイバーで強化されたポリアミドの小さなノブ2つで固定することのできる構造へと、トラディショナルな4点プラスねじ止め構造から発展させました。こちらの小さなノブは親指で締めたり、緩めたりが可能なトルク感を持っておりますが、内部にアクセスする機会の少ない場合はスリットが、各国の硬貨やピックの挟まるサイズ感にしてありますのでそちらで増し締めしていただけたらと思います。
今までで一番ペダル内部に開閉しやすいデザイン。というのが、ペダル内部にひたすら拘り続けた自分からの最終的な回答です。今後のLeqtiqueペダルの新作や、過去作のアップデートには内部トリマーetc...など多く含んで参りますのでこのアップデートは間違いなく大きな意味を持ってくると思います。また、強いメッセージとして"時々ペダルの内部も開けてみてください。間違いなくこのペダルをさらに愛せるでしょう。"というものもあります。世界各地から集められたカスタム品や、シークレットパーツ達それぞれにストーリーがあるのです..... (後記ブログにて詳しく
※Leqtique オリジナル RED 説明書