MAR EHV

MAR EHV

通常価格 ¥39,200 販売中

※EHV-Rシリーズは内部に特殊な部品が多く、通常以上に精密な組み込みが必要となるため通常のEVRシリーズよりも長い納期を頂戴いたします。

※2026/2/14発売の初回ロットのご納品は2026年4月中旬を予定しております。

※初回ロットのみ他のモデルと同じくスワールのハンドペイントとなります。完売次第終了となります。通常フィニッシュのロットの展開は2026年春を予定しております。

 

EHV Concept = Extra High Voltage Concept (超高電圧駆動コンセプト)

 

 2013年、Leqtique - 9/9をリリースする過程でMOSFETと呼ばれる素子の探究に明け暮れていました。MOSFETについては、"9/9","10/10"のD-MOSFETをはじめ、Leqtique EVR - RFDやPhantom EVR - Bleu OD,Cliffsなど.... 自分の関係するデザインではかなり力を入れて活用して参りました。

 そんなMOSFETが、我々の生活のあらゆる領域にて活用されるとともに、数百ボルトという高電圧で駆動可能なものが増えるようになりました。実は"9/9"に使用しているD-MOSFETも本来は1000V近くの動作電圧で駆動できる半導体なのです。この事実は2013年の時点で気付いてはいたのですが、当時はコンパクトエフェクターの狭い内部で安定的に200-300Vという、アンプヘッドさながらの電圧を供給することは不可能で、当時は9VにてD-MOSFETを駆使しチューブライクなサウンドを、アウトプットするポイントを探し出すことに注力しLeqtique - "9/9"は完成されました。

(Internally boosted up to 281.9V @ EHV-R9

 それから、12年の日々が経過した現在、超高電圧を生み出すチップや手法が数多く生み出され、実際に100Vを超える電圧を用いて、真空管を組み込んだエフェクターが市場に散見されるようになりました。我々Leqtique EVRは、この超高電圧を用いて真空管ではなく各種MOSFETやFET、高電圧オペアンプ、もしくは次世代の高電圧デバイスを駆動することにより、チューブサウンドをアナログ素子でエミュレートするのではなく、アンプヘッドのプリアンプ部分と全く同じ方法論で新世代のアナログ素子を動作させ、今までのペダルの次元ではないレスポンス、ダイナミクス、エンベロープ、歪みの質感を生み出すことを目指しました。

 はっきりとした恩恵として、真空管特有の熱や衝撃などの物理的な要因に対する脆弱性が解消されることと、数多くの次世代デバイスが真空管と比べて超小型であることから、今までは不可能であった、ハイゲインアンプのプリ部分のような真空管を用いた多段の増幅回路を同レベルの高電圧にてコンパクトエフェクターのフォーマットに組み込み足元に配することも可能となります。

(Triodes & MOSFETs)

 Leqtique - Maestro Antique Revisedは当ブランドの最初の作品として、2011年にリリースされました。モディファイではない、純粋な"TSスタイル"として生み出された"MAR"ですが、その後"Quad MAR"や、"MAR Kir"、"MAR EVR"などいくつかの少数のバリエーション機種を含むものの、一貫した独特のトーンには一切変更を入れずに来ました。エフェクターの中身というのは、全く同じような回路、中身でも、幾つかの最重要なポイントにピンポイントで個性的な部品や定数を入れることで大きく変わるものです。MARは、回路的に一般的なTSスタイルを踏襲しているため、主に3点のポイントが非常に重要でした。

 少し風変わりな心臓部のオペアンプ、絶対に代替不能なほどスムースなクリッピングダイオード、同様にスムースなトップエンドを生み出す絶版トランジスタ。種明かしをするとするとこの3点なのですが、非常に残念なことにそのトランジスタが世界的にもほぼ入手が完全に不能となってしまいました。(詳しくはMAR EVRをご参照ください。)

 そんな中、機種を完全に廃盤とすることを考えていましたが、EHV-Rシリーズにて超高電圧のMOSFET素子を研究している際に、市場に数種類しかまだ存在しない超高電圧対応のオペアンプの活用について考え始めることとなりました。現段階のLeqtiqueないしは自分の関連のデザインはほぼ白紙から設計することが多いため、フォーマットの完全に決まりきった"TS"もしくは"TSスタイル"のペダルを新規でリリースすることについてはあまり意味合いを感じなかったのですが、"200V付近で動かすTSペダル....?"といったところに非常にロマンを感じ、今作は実現されました。

(Internally boosted up to approx 200V @ MAR EHV

 MAR EHVは対高電圧のオペアンプはもちろん、二箇所のトランジスタについても同様の対高電圧のものに変更されています。一般的にオペアンプは36Vまでの駆動限度を持っていることが大半ですが、200V近くまで駆動の限度を持った特殊なオペアンプを用いることで、EHV-Rシリーズ全体に共通するアンプ同等のレンジ感をダイナミクスをもたらします。他方、TSスタイルのペダルはオペアンプの駆動電圧由来のヘッドルームの増減に関わらず、非常に低いスレッショルドレベルでのダイオードクリッピングにより歪みの生成が支配的であるため、例えば既存のTSタイプのペダルに18Vを入力しても音量が倍になるようなことは起き得ません。(EHV-Rシリーズやディスクリートの歪みエフェクターでは数多くそうなります。) しかしながら、それでも駆動電圧による音の変化、特に音色がリッチに、立体感が上がるような感覚を覚えるのは、各種オペアンプの駆動電圧による音色の違いと、増幅されたシグナルがダイオードによりクリッピングされるまでの、ほんの一瞬の(ns)の音の立ち上がり方の違いによりプレイヤーとしては強く体感されるものです。

(Secret Vintage Toshiba Diode for Clipping of MAR series and MAR EHV

 ただし、TSスタイルのペダルについてはある程度レンジ感を絞った方が"イナたくなる"という定石があり、EHV化するにあたり逆行するその要素を数箇所の決定的な回路定数変更により、2026年らしい"近未来の純粋なTSぺダル"として再定義しました。その過程で、駆動電圧は200V近くまで拡張されると同時に、追加のコントロールとして"Extra Mid"コントロールをミニノブとして新たに配置しました。モディファイでないTSペダルをリリースする際には、一般的に最も有益であると考えられるLow-Cut(もしくはBassコントロールなど)は必要と考えず、むしろ整理されたローエンドについて拡張性を求めるのではなく、TSスタイル全体に通ずる旨みである中域成分についてist/Mini EQ EVRで培った、回路的に原音に影響を与えない状態をキープすることも可能な回路を組み込んであります。

 MAT(EVR)やBeryl(EVR)、Rochが"TS"というものを流れの大元に持った自分のデザインとなりますが、どれだけ拡張性を付与したとしても、あのMARのレンジ感や"いなたさ"が良い。と感じていただいているユーザーの方には、是非それが2026年バージョンとしてどのように再定義されたか感じ取っていただけますと幸いです。Leqtique - MARの素子選択のバランスは自分の決定してきたあらゆるコンビネーションの中でも、最高と今でも思えしものですので、それを超えられたか?と言うと全く違いますが、超高電圧駆動オペアンプ/半導体由来の音色の余裕や、スケール感、解像度とMARで大事にしてきた上述の要素を融合することで生み出されたLeqtique EVRらしい、2020年代バージョンの最新MARをお楽しみください。

(2026 Leqtique EVR - "MAR EHV"

 

Control : (Left to Right) Level , Extra Mid(mini) , Tone , Gain 

Operation Voltage : 9V 500mA Adapter/Power Supply (内部で200-300Vに昇圧されます)

・必要なアダプター/パワーサプライは通常の9V 500(mA)で問題ありません。

・電池での駆動はできず、内部にバッテリーホルダーはございません。

 

Shun Nokina

 

"EVR" コンセプトについて 

  2019年以降はヨーロッパを拠点としていくつかのペダルのデザインには携わらせて来ておりましたが、Leqtiqueのペダルについては新作をリリースすることもなく実質的には休止状態になっておりました。しかしながら、2024年拠点を一時的にアイスランドとしたことで素晴らしいインスピレーションを複数得ることができ、その全てを"EVR"というアップデートパッケージとしてデザインし続けて参りました。

 "EVR"とは、アイスランド語でEVRU:ヨーロッパを意味します。長年、通いや拠点としてヨーロッパ各地で得たインスピレーションや経験をフィードバックして体現していくことを文字に強く込めています。塗装の色彩感や、サウンドのダークさなど元々、強くヨーロッパへの憧れが体現されていたLeqtiqueのペダルですが、より現実的な経験としてはっきり体現されています。

  15年間アップデートの入ることのなかった、Leqtiqueのペダルですが筐体、全てのコンポーネンツ、コンセプトなど一から全て再構成をしました。例えばアルミニウム削り出しの一体型であった筐体は、許容力の広い一般的な"箱"のデザインでしか今まではありませんでしたが、完全にLeqtique EVRのペダルでしか活用できないような特別な設計としてあります。"一体型"であることの優位性を考え直すことで、アルミニウムのみであった素材は、今回アルミニウムの機能的なベースケースと、非磁性のステンレスを使用したコスメティックなレイヤー、また個別で切削されたパーツの3セクションに分割し、統合することで構築されており、"削り出し筐体"のデザイン面での多様性と一貫性、マテリアルチョイスの制限性に逆説的に大きくメスを入れました。結果として、アクリル塗料により塗装されていたケースの大部分はアルミニウムの陽極酸化処理として置き換えられ、今までと比較にならない耐久性を得ることができ、上部レイヤーをステンレス素材をにすることでペダル全体の剛性感は格段に向上し、コスメティックな観点でもステンレスの輝きはハンドペイントに今までには無い奥深い立体感を付与しまいます。また、多軸のCNCマシンでも制作の難しいアイデアについては、個別でパーツを作成し統合することで解決しており、特にチームでは"Slider"と呼んでいる内部の部品は、ペダルコンセプトとは別色で敢えて制作されており、ブランド初期より長らく使用し続けているGavitt製のクロスワイヤーを個別でシールドするのと、Leqtiqueらしいすっきりとした配線を2次元から3次元的に昇華しています。

  他方、電源セクションはペダルの基幹的なデザインの中で間違いなく一番重要なポイントですが、リーディングブランドであるKeystone社の電池スナップを長年活用させていただいておりましたが、最高品位なものが廃盤となり自分としてはこの部分に対して一番頭を抱えておりました.... しかし、EVRコンセプトしてすべてを一から再構築する際に、経年によってワイヤーが切れる可能性のあるスナップではなく、電池自体をセクションとしてマウントしたい。という理想を今回具現化しました。Keystone社の"Model 91"はビンテージタイプから素材やデザインはさほど変わっておらず、9Vの角電池を強力にホールドして強いパワーシグナルをアウトプットするという意味では、個別で設計されたVPTP基板と合わせて、オリジナルLeqtiqueペダルのフォーマットからは遥かに高次元な進化を遂げました。

 こういった全てのアップデートの大半は、"ペダル内部"に関するものが多く、前述の高品位なパーツ群といった話も含めて、実は演奏して実際にペダルを楽しんでいる際には気に留められることがほぼ無い部分なのですが、そこに"なぜ?"という問いも今回のアップデートパッケージの原動力の大きなテーマの一つでありました。自分なりの答えとして、"裏蓋から内部へのアクセスの悪さ"が大きな要因の一つであると考え、裏蓋と固定構造についてもかなり長い時間考察と設計を続けました。最終的に、UKで製造されるカーボンファイバーで強化されたポリアミドの小さなノブ2つで固定することのできる構造へと、トラディショナルな4点プラスねじ止め構造から発展させました。こちらの小さなノブは親指で締めたり、緩めたりが可能なトルク感を持っておりますが、内部にアクセスする機会の少ない場合はスリットが、各国の硬貨やピックの挟まるサイズ感にしてありますのでそちらで増し締めしていただけたらと思います。

  今までで一番ペダル内部に開閉しやすいデザイン。というのが、ペダル内部にひたすら拘り続けた自分からの最終的な回答です。今後のLeqtiqueペダルの新作や、過去作のアップデートには内部トリマーetc...など多く含んで参りますのでこのアップデートは間違いなく大きな意味を持ってくると思います。また、強いメッセージとして"時々ペダルの内部も開けてみてください。間違いなくこのペダルをさらに愛せるでしょう。"というものもあります。世界各地から集められたカスタム品や、シークレットパーツ達それぞれにストーリーがあるのです..... (後記ブログにて詳しく