Lupinus High Definition (aka LHD

Lupinus High Definition (aka LHD

通常価格 ¥31,400 販売中

※LHDは内部に使用している、Duelund Coherent Audioのコンデンサーがデンマークで時間をかけてのハンドメイドのため、ご納期が通常のEVR製品より長くなっております。

※9/20- 初回ロットのご納品は11月中旬を予定しております。

 

 Leqtiqueのエフェクター、と言えばコードワークよりもリードプレイにより比重の置かれたようなデザインが結果的に多いのではないか?という気づきを元にLupinus High Definition "LHD"の最初の構想は練られました。

 同じく高解像度を意味された"HD"をモデル名に冠する、CLHD (EVR)は"解像度"というテーマに対して直接的にコントロールできる、自分としては理想的なクリーン〜ライトドライブの領域をカバーするペダルですが、CLHD (EVR)特にLow-Cutの搭載されていないCLHDもどちらかと言えば、単音に対するコンディショナー(ブースター)と考えられる方も少なくないと思います。本作、LHDはCLHD (EVR)のような使用感のまま、リードプレイに対してではなく、主にコードワークに対して、別の言葉で言うとどれだけ心地よく、爽快に、明瞭にコードをかき鳴らせるかと言うテーマを持った"和音Box"となっています。

(Lupinus HD Control :  Volume, Definition, Gain, Middle-Cut(mini) 

 コントロールとしては、Leqtique (EVR)のペダルとしては初めて表にMiddleに関するノブが搭載されました。High Definition "HD"というのは、つまりは"トランスペアレント系"という枠を超越するようなクリアさ、そして自在にそれ(解像度)をコントロールする。というシリーズなのですが、コントロールが、Volume, Gain, Definition, Middle-Cutとなったことで、DefinitionをTreble-Cutと見立てると(CLHDに慣れ親しまれた方であれば)、ミドルに触れることのできるエクストリームなトランスペアレント系という認識も可能です。もはや定番となった、2010年代以降のVolume, Gain, Treble(Cut), Bass(Cut)という構成ですが、どうしてもミドルのハンプを取り除くことはできず(もちろん、それがTS系と同様最大の武器なのですが)、過多なミドルを"漉いて"軽快にコードをかき鳴らす。というペダルは意外と少ないのです。なお、このような理由からLow(ローエンド)に関しても、軽快なサウンドを目指し、一般的なTSスタイルのような軽めの設定値にしてありますが、内部に原音のようなレベルまで(CLHD EVRやL'CLDのように)調整可能なコントロールを仕込ませてあります。これによって、ミドルをカットしなければ、Leqtique - COD(Caeruleum Overdrive)のようにサウンドさせることも可能です。

(Duelund Coherent Audio - JDM PP Capacitors , Made in Denmark 2025

 具体的に実現する素材としては、CLHD EVRをベースメントしており、強化された高電圧駆動の電源周りはもちろんのこと、デンマーク製Duelund Coherent Audionのコンデンサーは、原音を超クリアにまた芳醇なまま鳴らし切るにはやはり完全かつもはや不可欠と言ったといった存在になりました。勿論全ては、オリジナルCLHD期から偏重しているLinear Technology社(現Analog Devices社)のLT1028という全てのオペアンプファミリーの中でも、最も尖った心臓部にあるのは言うまでもありません。LT1028は各種データ上の数値的なところはもちろんなのですが、聴感上の音のスピード感と、クリアさ、そして立体感がやはり2025年の現段階においても異次元です。そして、現在では再製造のほぼ不可能となったMAR EVRからは、内部で使用していたビンテージのシークレットなダイオードを持ち込むことにしました。これは、トップエンドに音楽的なスムースさをもたらすのと、クリーンシグナルとの絶妙なブレンド感を生み出します。これらのすでに確立された要素はFunk,Jazz/Fusion,Ambient,Neo-Soul..... とにかくクリーントーンと、またそれを自然に延長したような若干の歪みで美しく、軽やかにあらゆるボイシングのコードを鳴らす必要のある音楽にとって、これ以上ない完璧なマッチングです。

 モデル名ともなっているLupinus(ルピナス)とは、アイスランドを代表する青紫色の植物で、夏になると国を代表するような色調として咲き誇ります。きっとそれらは絶対に外せない無意識の要素として長年インスパイアされた結果、日本でも人気の高いあのアイスランド産の素晴らしいPost系の音楽が生み出されたのではないか、、そんなことを常に感じているのですが、もちろん再帰的にそれらに影響され続けた結果、このような"和音Box"が生み出されました。コントロールとしては多彩のためもちろん、コードワークのみならずあらゆる使用方法が想定されますが、個人的にはライト目なゲインにてコードをかき鳴らす/爪弾く際の絶対解の一つです。

 

Control : (Left to Right) Volume , Middle-Cut(mini) , Definition , Gain 

Operation Voltage : 9V (NO 18V)

 

Shun Nokina

 

"EVR" コンセプトについて 

  2019年以降はヨーロッパを拠点としていくつかのペダルのデザインには携わらせて来ておりましたが、Leqtiqueのペダルについては新作をリリースすることもなく実質的には休止状態になっておりました。しかしながら、2024年拠点を一時的にアイスランドとしたことで素晴らしいインスピレーションを複数得ることができ、その全てを"EVR"というアップデートパッケージとしてデザインし続けて参りました。

 "EVR"とは、アイスランド語でEVRU:ヨーロッパを意味します。長年、通いや拠点としてヨーロッパ各地で得たインスピレーションや経験をフィードバックして体現していくことを文字に強く込めています。塗装の色彩感や、サウンドのダークさなど元々、強くヨーロッパへの憧れが体現されていたLeqtiqueのペダルですが、より現実的な経験としてはっきり体現されています。

  15年間アップデートの入ることのなかった、Leqtiqueのペダルですが筐体、全てのコンポーネンツ、コンセプトなど一から全て再構成をしました。例えばアルミニウム削り出しの一体型であった筐体は、許容力の広い一般的な"箱"のデザインでしか今まではありませんでしたが、完全にLeqtique EVRのペダルでしか活用できないような特別な設計としてあります。"一体型"であることの優位性を考え直すことで、アルミニウムのみであった素材は、今回アルミニウムの機能的なベースケースと、非磁性のステンレスを使用したコスメティックなレイヤー、また個別で切削されたパーツの3セクションに分割し、統合することで構築されており、"削り出し筐体"のデザイン面での多様性と一貫性、マテリアルチョイスの制限性に逆説的に大きくメスを入れました。結果として、アクリル塗料により塗装されていたケースの大部分はアルミニウムの陽極酸化処理として置き換えられ、今までと比較にならない耐久性を得ることができ、上部レイヤーをステンレス素材をにすることでペダル全体の剛性感は格段に向上し、コスメティックな観点でもステンレスの輝きはハンドペイントに今までには無い奥深い立体感を付与しまいます。また、多軸のCNCマシンでも制作の難しいアイデアについては、個別でパーツを作成し統合することで解決しており、特にチームでは"Slider"と呼んでいる内部の部品は、ペダルコンセプトとは別色で敢えて制作されており、ブランド初期より長らく使用し続けているGavitt製のクロスワイヤーを個別でシールドするのと、Leqtiqueらしいすっきりとした配線を2次元から3次元的に昇華しています。

  他方、電源セクションはペダルの基幹的なデザインの中で間違いなく一番重要なポイントですが、リーディングブランドであるKeystone社の電池スナップを長年活用させていただいておりましたが、最高品位なものが廃盤となり自分としてはこの部分に対して一番頭を抱えておりました.... しかし、EVRコンセプトしてすべてを一から再構築する際に、経年によってワイヤーが切れる可能性のあるスナップではなく、電池自体をセクションとしてマウントしたい。という理想を今回具現化しました。Keystone社の"Model 91"はビンテージタイプから素材やデザインはさほど変わっておらず、9Vの角電池を強力にホールドして強いパワーシグナルをアウトプットするという意味では、個別で設計されたVPTP基板と合わせて、オリジナルLeqtiqueペダルのフォーマットからは遥かに高次元な進化を遂げました。

 こういった全てのアップデートの大半は、"ペダル内部"に関するものが多く、前述の高品位なパーツ群といった話も含めて、実は演奏して実際にペダルを楽しんでいる際には気に留められることがほぼ無い部分なのですが、そこに"なぜ?"という問いも今回のアップデートパッケージの原動力の大きなテーマの一つでありました。自分なりの答えとして、"裏蓋から内部へのアクセスの悪さ"が大きな要因の一つであると考え、裏蓋と固定構造についてもかなり長い時間考察と設計を続けました。最終的に、UKで製造されるカーボンファイバーで強化されたポリアミドの小さなノブ2つで固定することのできる構造へと、トラディショナルな4点プラスねじ止め構造から発展させました。こちらの小さなノブは親指で締めたり、緩めたりが可能なトルク感を持っておりますが、内部にアクセスする機会の少ない場合はスリットが、各国の硬貨やピックの挟まるサイズ感にしてありますのでそちらで増し締めしていただけたらと思います。

  今までで一番ペダル内部に開閉しやすいデザイン。というのが、ペダル内部にひたすら拘り続けた自分からの最終的な回答です。今後のLeqtiqueペダルの新作や、過去作のアップデートには内部トリマーetc...など多く含んで参りますのでこのアップデートは間違いなく大きな意味を持ってくると思います。また、強いメッセージとして"時々ペダルの内部も開けてみてください。間違いなくこのペダルをさらに愛せるでしょう。"というものもあります。世界各地から集められたカスタム品や、シークレットパーツ達それぞれにストーリーがあるのです..... (後記ブログにて詳しく