
10/10 "XXJ" EVR
通常価格
¥29,400
販売中
※8/23(土)よりご案内の初回分のお届けは9月末となります。
2017年にリリースとなりました、Leqtique 10/10は設計者である私の育った音楽背景の根幹である、北欧のエクストリームなメタルサウンドをアウトプットすべく当時完成されました。2000-2010年代のBlack Metalをはじめとしてエクストリームメタルの風潮として、程よくミドルの残った、クリアで分厚いサウンド。といったイメージを持っていたため当時9/9では内部に設定されていたMid-Cutコントロールを廃し、460hz付近にこれ位のPrecutを仕込んでおりました。ゲイン量はすでに異常とも言うべき量を誇っておりましたが、それ以外のコントロールは前述のように目指していたトーンがはっきりしていたため、現実的なコントロール幅となっていました。
今回リリースすることとなりました、10/10 "XXJ" EVRは他のLeqtique EVRの作品同様に、EVRフォーマットの全体的なアップグレードを施すだけでなく、大幅にサウンドをチューンナップしたことから、再設計モデルとなるEVRシリーズの中で唯一名称が異なっています。10/10 EVRというものが仮に存在して、それをカスタム屋さんが限界まで過激にチューンナップしたらどのようなものが出来上がるかということを当初の設計コンセプトとしています。
具体的には古今東西のエクストリームな音楽に対応すべく、非常に重要な要素である"Treble"は前作でもかなりフォーカスされていたポイントですが、この度ありえないほど拡張されました。控えめにフォーカスされていた前身10/10の"Treble"に比べると、劈くような鋭利なサウンドも可能で当時のシーンの最高峰の中で、超限定的にデモテープとしてリリースされていたような音源の極悪な音像を描きます。"Bottom"コントロールに関しては、小音量から超大音量まで鳴らす環境によって今回も特に過不足は感じなかったため、そのままの採用となっております。"Gain"コントロールも10/10の時点で相当エクストリームでしたが、25%程さらに増強しています。Ambient/Noise/Experimentalのような超エクストリームな空間にて是非ご活用ください。
他方、"XXJ"と名付けられたもう一つの大きな理由が、MeshuggahのFredrik Thordendal氏も愛用するスウェーデンのHermansson Amplification製、Modified Dual Rectifierの存在がありました。Leqtiqueのチームメイトが実機を手に入れて以来、とんでもなくタイトでソリッドな音像はもとであるレクチ感がほぼ無いような凄まじい内容ですが、その中で数多く増設されたコントロールのうち"Tightness"というコントロールが非常に有益であることを発見しました。その操作性に強く感銘を受けたことにより、前身の10/10では内部のコントロールは廃しておりましたが、同名の"Tightness"という内部コントロールを仕込むこととしました。(回路上は全く共通点はないものの)実機同様の操作感を目指し、Djentyでキレのある巻弦のサウンドを自在にコントロールするような内容に仕上がっています。
(2025 Hermansson Amplification - Modified Dual Rectifier & 10/10 "XXJ" EVR)
実は純粋なメタルサウンドを目指した機種の少なかったLeqtiqueブランドですが、この10/10 "XXJ" EVRはエクストリームミュージック、ないしは特に星の数ほど存在するメタルジャンルのそれぞれに呼応するようなサウンドを足元で生み出します。メタリックなサウンドをお探しの方に強くお勧めする一台です。
*オリジナルLeqtique 10/10と全てのコントロールは共通しますが、内部に新たに増設されたTightnessコントロールを含みます。
Shun Nokina
"EVR" コンセプトについて
2019年以降はヨーロッパを拠点としていくつかのペダルのデザインには携わらせて来ておりましたが、Leqtiqueのペダルについては新作をリリースすることもなく実質的には休止状態になっておりました。しかしながら、2024年拠点を一時的にアイスランドとしたことで素晴らしいインスピレーションを複数得ることができ、その全てを"EVR"というアップデートパッケージとしてデザインし続けて参りました。
"EVR"とは、アイスランド語でEVRU:ヨーロッパを意味します。長年、通いや拠点としてヨーロッパ各地で得たインスピレーションや経験をフィードバックして体現していくことを文字に強く込めています。塗装の色彩感や、サウンドのダークさなど元々、強くヨーロッパへの憧れが体現されていたLeqtiqueのペダルですが、より現実的な経験としてはっきり体現されています。
15年間アップデートの入ることのなかった、Leqtiqueのペダルですが筐体、全てのコンポーネンツ、コンセプトなど一から全て再構成をしました。例えばアルミニウム削り出しの一体型であった筐体は、許容力の広い一般的な"箱"のデザインでしか今まではありませんでしたが、完全にLeqtique EVRのペダルでしか活用できないような特別な設計としてあります。"一体型"であることの優位性を考え直すことで、アルミニウムのみであった素材は、今回アルミニウムの機能的なベースケースと、非磁性のステンレスを使用したコスメティックなレイヤー、また個別で切削されたパーツの3セクションに分割し、統合することで構築されており、"削り出し筐体"のデザイン面での多様性と一貫性、マテリアルチョイスの制限性に逆説的に大きくメスを入れました。結果として、アクリル塗料により塗装されていたケースの大部分はアルミニウムの陽極酸化処理として置き換えられ、今までと比較にならない耐久性を得ることができ、上部レイヤーをステンレス素材をにすることでペダル全体の剛性感は格段に向上し、コスメティックな観点でもステンレスの輝きはハンドペイントに今までには無い奥深い立体感を付与しまいます。また、多軸のCNCマシンでも制作の難しいアイデアについては、個別でパーツを作成し統合することで解決しており、特にチームでは"Slider"と呼んでいる内部の部品は、ペダルコンセプトとは別色で敢えて制作されており、ブランド初期より長らく使用し続けているGavitt製のクロスワイヤーを個別でシールドするのと、Leqtiqueらしいすっきりとした配線を2次元から3次元的に昇華しています。
他方、電源セクションはペダルの基幹的なデザインの中で間違いなく一番重要なポイントですが、リーディングブランドであるKeystone社の電池スナップを長年活用させていただいておりましたが、最高品位なものが廃盤となり自分としてはこの部分に対して一番頭を抱えておりました.... しかし、EVRコンセプトしてすべてを一から再構築する際に、経年によってワイヤーが切れる可能性のあるスナップではなく、電池自体をセクションとしてマウントしたい。という理想を今回具現化しました。Keystone社の"Model 91"はビンテージタイプから素材やデザインはさほど変わっておらず、9Vの角電池を強力にホールドして強いパワーシグナルをアウトプットするという意味では、個別で設計されたVPTP基板と合わせて、オリジナルLeqtiqueペダルのフォーマットからは遥かに高次元な進化を遂げました。
こういった全てのアップデートの大半は、"ペダル内部"に関するものが多く、前述の高品位なパーツ群といった話も含めて、実は演奏して実際にペダルを楽しんでいる際には気に留められることがほぼ無い部分なのですが、そこに"なぜ?"という問いも今回のアップデートパッケージの原動力の大きなテーマの一つでありました。自分なりの答えとして、"裏蓋から内部へのアクセスの悪さ"が大きな要因の一つであると考え、裏蓋と固定構造についてもかなり長い時間考察と設計を続けました。最終的に、UKで製造されるカーボンファイバーで強化されたポリアミドの小さなノブ2つで固定することのできる構造へと、トラディショナルな4点プラスねじ止め構造から発展させました。こちらの小さなノブは親指で締めたり、緩めたりが可能なトルク感を持っておりますが、内部にアクセスする機会の少ない場合はスリットが、各国の硬貨やピックの挟まるサイズ感にしてありますのでそちらで増し締めしていただけたらと思います。
今までで一番ペダル内部に開閉しやすいデザイン。というのが、ペダル内部にひたすら拘り続けた自分からの最終的な回答です。今後のLeqtiqueペダルの新作や、過去作のアップデートには内部トリマーetc...など多く含んで参りますのでこのアップデートは間違いなく大きな意味を持ってくると思います。また、強いメッセージとして"時々ペダルの内部も開けてみてください。間違いなくこのペダルをさらに愛せるでしょう。"というものもあります。世界各地から集められたカスタム品や、シークレットパーツ達それぞれにストーリーがあるのです..... (後記ブログにて詳しく
※Leqtique オリジナル 10/10 説明書
