EHV-R4 aka "4/4 EHV"
Regular price
¥39,200
Sale
※EHV-Rシリーズは内部に特殊な部品が多く、通常以上に精密な組み込みが必要となるため通常のEVRシリーズよりも長い納期を頂戴いたします。
※10/18- 初回ロットのご納品は2026年2月上旬を予定しております。
※初回ロットのみ他のモデルと同じくスワールのハンドペイントとなります。完売次第終了となります。通常フィニッシュのロットの展開は2026年春を予定しております。
EHV Concept = Extra High Voltage Concept (超高電圧駆動コンセプト)
2013年、Leqtique - 9/9をリリースする過程でMOSFETと呼ばれる素子の探究に明け暮れていました。MOSFETについては、"9/9","10/10"のD-MOSFETをはじめ、Leqtique EVR - RFDやPhantom EVR - Bleu OD,Cliffsなど.... 自分の関係するデザインではかなり力を入れて活用して参りました。
そんなMOSFETが、我々の生活のあらゆる領域にて活用されるとともに、数百ボルトという高電圧で駆動可能なものが増えるようになりました。実は"9/9"に使用しているD-MOSFETも本来は1000V近くの動作電圧で駆動できる半導体なのです。この事実は2013年の時点で気付いてはいたのですが、当時はコンパクトエフェクターの狭い内部で安定的に200-300Vという、アンプヘッドさながらの電圧を供給することは不可能で、当時は9VにてD-MOSFETを駆使しチューブライクなサウンドを、アウトプットするポイントを探し出すことに注力しLeqtique - "9/9"は完成されました。

(Internally boosted up to 281.9V @ EHV-R9
それから、12年の日々が経過した現在、超高電圧を生み出すチップや手法が数多く生み出され、実際に100Vを超える電圧を用いて、真空管を組み込んだエフェクターが市場に散見されるようになりました。我々Leqtique EVRは、この超高電圧を用いて真空管ではなく各種MOSFETやFET、高電圧オペアンプ、もしくは次世代の高電圧デバイスを駆動することにより、チューブサウンドをアナログ素子でエミュレートするのではなく、アンプヘッドのプリアンプ部分と全く同じ方法論で新世代のアナログ素子を動作させ、今までのペダルの次元ではないレスポンス、ダイナミクス、エンベロープ、歪みの質感を生み出すことを目指しました。
はっきりとした恩恵として、真空管特有の熱や衝撃などの物理的な要因に対する脆弱性が解消されることと、数多くの次世代デバイスが真空管と比べて超小型であることから、今までは不可能であった、ハイゲインアンプのプリ部分のような真空管を用いた多段の増幅回路を同レベルの高電圧にてコンパクトエフェクターのフォーマットに組み込み足元に配することも可能となります。

(Triodes & MOSFETs)
EHV-R4 "4/4 EHV"はこのEHVコンセプトを最初に適用されたモデルで、200-300Vの高電圧にて3段の種々のMOSFETを駆動することにより、今までのエミュレーションとは大きく異なる、Tubeyで艶のあるロックサウンドを奏でます。ゲインレンジとしてはまさに"4/4"といった具合で、過激なメタルサウンドを奏でることはできませんが、誰もがまずサウンドさせるであろうアンプヘッドと同様に、直感的に心地の良いミドルゲインサウンドを生み出します。考え方としては、ミディアムゲインのブティックアンプヘッドのプリアンプ部分をそのまま足元に抽出した、というような捉え方はもちろん直接的に正解ですし、もしくは既存のエフェクターライクなミディアムゲインのOD/DSを異次元に高レスポンス化、ダイナミックにした。と考えても問題ありません。その名の通り足元に置く小さなアンプとして足元でメインの歪みを生み出しても、もしくは後者の考え方で実際のアンプヘッドの前段もしくは他のエフェクターと組み合わせることで、HOT Channelを増設するような、もしくは既に完成されたトーンパレットに圧倒的な立体感のある歪みを追加することが可能です。
足元に置く。ということに拘りを持ってきたため使用、操作感は電気的にも通常のエフェクターと同じように使用できるように設計してあります。前後にあらゆるエフェクターを組み合わせていただいて問題ありません。とくに"プリアンプ"として意識する必要はありません。"4/4 EHV"では、アンプライクなボリューム、ゲイン、トーンを備えていますが、"エフェクター的"なエッセンスとしてLow-Cutの小さなコントロールも付随しており、通常のアンプのコントロール部分よりもはっきりとした変化で、操作感はLeqtique (EVR)の他のエフェクターと同様です。前後の機材またはギターに合わせて積極的に微調整ください。

(2025 Leqtique EVR - "Miniamp" & "4/4 EHV"
同時にリリースとなる"Miniamp"が、ジャズクラブにひっそり置いてあるリッチなコンボアンプだとすると、"4/4 EHV"は誰もがリハーサルスタジオで鳴らしたであろう骨太なロックサウンドをエフェクターの次元ではない領域で立体的に力強くアウトプットします。チューブの音の輪郭を似せて捉えようとエミュレートされたサウンドではなく、実際に超高電圧で駆動されているためとにかくハイレスポンスでダイナミックです。ギターのボリュームを絞るとそのまま歪み感のみがとれたクリーンが鳴る。というアンプの特性がそのまま足元で実現されます。
Control : (Left to Right) Volume , Low-Cut(mini) , Tone , Gain
Operation Voltage : 9V 500mA Adapter/Power Supply (内部で200-300Vに昇圧されます)
・必要なアダプター/パワーサプライは通常の9V 500(mA)で問題ありません。
・電池での駆動はできず、内部にバッテリーホルダーはございません。
Shun Nokina
"EVR" コンセプトについて
2019年以降はヨーロッパを拠点としていくつかのペダルのデザインには携わらせて来ておりましたが、Leqtiqueのペダルについては新作をリリースすることもなく実質的には休止状態になっておりました。しかしながら、2024年拠点を一時的にアイスランドとしたことで素晴らしいインスピレーションを複数得ることができ、その全てを"EVR"というアップデートパッケージとしてデザインし続けて参りました。
"EVR"とは、アイスランド語でEVRU:ヨーロッパを意味します。長年、通いや拠点としてヨーロッパ各地で得たインスピレーションや経験をフィードバックして体現していくことを文字に強く込めています。塗装の色彩感や、サウンドのダークさなど元々、強くヨーロッパへの憧れが体現されていたLeqtiqueのペダルですが、より現実的な経験としてはっきり体現されています。
15年間アップデートの入ることのなかった、Leqtiqueのペダルですが筐体、全てのコンポーネンツ、コンセプトなど一から全て再構成をしました。例えばアルミニウム削り出しの一体型であった筐体は、許容力の広い一般的な"箱"のデザインでしか今まではありませんでしたが、完全にLeqtique EVRのペダルでしか活用できないような特別な設計としてあります。"一体型"であることの優位性を考え直すことで、アルミニウムのみであった素材は、今回アルミニウムの機能的なベースケースと、非磁性のステンレスを使用したコスメティックなレイヤー、また個別で切削されたパーツの3セクションに分割し、統合することで構築されており、"削り出し筐体"のデザイン面での多様性と一貫性、マテリアルチョイスの制限性に逆説的に大きくメスを入れました。結果として、アクリル塗料により塗装されていたケースの大部分はアルミニウムの陽極酸化処理として置き換えられ、今までと比較にならない耐久性を得ることができ、上部レイヤーをステンレス素材をにすることでペダル全体の剛性感は格段に向上し、コスメティックな観点でもステンレスの輝きはハンドペイントに今までには無い奥深い立体感を付与しまいます。また、多軸のCNCマシンでも制作の難しいアイデアについては、個別でパーツを作成し統合することで解決しており、特にチームでは"Slider"と呼んでいる内部の部品は、ペダルコンセプトとは別色で敢えて制作されており、ブランド初期より長らく使用し続けているGavitt製のクロスワイヤーを個別でシールドするのと、Leqtiqueらしいすっきりとした配線を2次元から3次元的に昇華しています。


他方、電源セクションはペダルの基幹的なデザインの中で間違いなく一番重要なポイントですが、リーディングブランドであるKeystone社の電池スナップを長年活用させていただいておりましたが、最高品位なものが廃盤となり自分としてはこの部分に対して一番頭を抱えておりました.... しかし、EVRコンセプトしてすべてを一から再構築する際に、経年によってワイヤーが切れる可能性のあるスナップではなく、電池自体をセクションとしてマウントしたい。という理想を今回具現化しました。Keystone社の"Model 91"はビンテージタイプから素材やデザインはさほど変わっておらず、9Vの角電池を強力にホールドして強いパワーシグナルをアウトプットするという意味では、個別で設計されたVPTP基板と合わせて、オリジナルLeqtiqueペダルのフォーマットからは遥かに高次元な進化を遂げました。


こういった全てのアップデートの大半は、"ペダル内部"に関するものが多く、前述の高品位なパーツ群といった話も含めて、実は演奏して実際にペダルを楽しんでいる際には気に留められることがほぼ無い部分なのですが、そこに"なぜ?"という問いも今回のアップデートパッケージの原動力の大きなテーマの一つでありました。自分なりの答えとして、"裏蓋から内部へのアクセスの悪さ"が大きな要因の一つであると考え、裏蓋と固定構造についてもかなり長い時間考察と設計を続けました。最終的に、UKで製造されるカーボンファイバーで強化されたポリアミドの小さなノブ2つで固定することのできる構造へと、トラディショナルな4点プラスねじ止め構造から発展させました。こちらの小さなノブは親指で締めたり、緩めたりが可能なトルク感を持っておりますが、内部にアクセスする機会の少ない場合はスリットが、各国の硬貨やピックの挟まるサイズ感にしてありますのでそちらで増し締めしていただけたらと思います。

今までで一番ペダル内部に開閉しやすいデザイン。というのが、ペダル内部にひたすら拘り続けた自分からの最終的な回答です。今後のLeqtiqueペダルの新作や、過去作のアップデートには内部トリマーetc...など多く含んで参りますのでこのアップデートは間違いなく大きな意味を持ってくると思います。また、強いメッセージとして"時々ペダルの内部も開けてみてください。間違いなくこのペダルをさらに愛せるでしょう。"というものもあります。世界各地から集められたカスタム品や、シークレットパーツ達それぞれにストーリーがあるのです..... (後記ブログにて詳しく